納体袋

納体袋は、遺体収容袋とも呼ばれ、英語圏では主にbody bagという名で知られている。

遺体を収容するために設計された袋で、遺体の保管と搬送に使用される。

袋の材質はビニールやポリエチレン、不織布で製造されているものがほとんどであり、2層または3層フィルムで構成されている納体袋も存在する。

中には非透過性納体袋と呼ばれる液漏れ防止、感染症対策のためにつくられた特殊な納体袋もあり、人工血液バリア性、ウイルスバリア性、防臭などの性能を有している。

特に人工血液バリア性、ウイルスバリア性はJIS規格での試験があり、クラス3~6で合格した納体袋が非透過性納体袋として流通している。

納体袋の大きさは、一般的に90×220cm程度であり、耐荷重は100~180kg程度。より安全に搬送する、もしくは、感染症対策のためにインナーバッグ(内袋)とそれを覆うアウターバッグ(外袋)の2つが使用されることがある。2つを併用する場合、アウターバッグの方にハンドル部分(持ち手)がついていることが多く、インナーバッグのみの場合は、付いていないものもあるが、袋自体が丈夫につくられており、引っ張りに強くなっていることが多い。

色は黒や白、グレーが大半を占めるが、コロナ禍において葬儀の場面で使われることが増え、透明な納体袋の需要が増加したこともあり、現在では透明なものも出回るようになった。

腐敗を抑制するために遺体にドライアイスが使用されるが、納体袋との併用は好ましくなくない。非透過性納体袋であっても、その耐寒性は-2~-20℃程度であり、材質的に-40℃が限度である。-79℃のドライアイの低温に耐えられるものではない。現状では納体袋にドライアイスを使用する場合、脱脂綿などで包み納体袋に直接触れないようにし、外側に置くことが求められる。しかし、海外製でアルミニウムを材質とした納体袋でバイオシール(BioSeal System5®)と呼ばれるものがあるが、これなどはドライアイスを上に置いた状態で海外搬送した実績がある。アルミニウムを何層にもラミネート加工したもので、使用期限も49年と耐久性と強度が非常に高い。

そのような特殊な納体袋でなければ、ドライアイスとの併用は極力避けるべきで、別途、遺体保全剤を使用して腐食抑制の処置を取る必要がある。

開閉方法もさまざまにあるが、一般的には全長わたってファスナーもしくは、ジッパーが設けられている。ファスナー、チャックの位置は中央か側面であり、I型、D型になっている場合もある。ダブルチャックを使用して密閉性を高めているものもある。ファスナーやチャックの材質は合成樹脂やプラスチックを使用してるものが多く、火葬を考慮し金属製を避けている。

サーモシーラーと言われる器具を使い、熱によってフィルム同士を接着させる「ヒートシール(熱接着)」という密閉方法も一部の納体袋では使用されている。

また遺体の識別を容易にするために、透明なラベルポケットが組み込まれ、そこに身元情報カードを収納できるものや、プラスチック表面にマーカーペンで情報を書き込めるようになっているものもある。

最近のブログ